
柏にある日立サッカー場の近くに小規模な土塁が残っている。最初は増尾城と関係がある遺構かと思ったが、城址とはまったく関係がないことがわかった。土塁ではなく、野馬除土手の跡である。
野馬除土手とは、野馬(野生の馬)が、馬牧(牧場)の外に逃走し、民家に侵入したり田畑を荒らすのを防ぎ、野犬などの害獣の侵入を防ぐために、馬牧を囲むように作られた土手の総称である。馬牧の起源は、中世にまでさかのぼり、当時、房総で栄えていた千葉氏が軍馬育成のために牧場を作ったものによる。安房国には白浜牧、錺師牧があり、上総には大野牧、下総には高津牧、大結牧、本島牧、長州牧があったと言われる。房総は、一大軍馬の産地であったらしい。
江戸時代になると、徳川吉宗の牧改革により、幕府直轄による小金牧、佐倉牧、嶺岡牧があったという。
柏は、上野牧の中にはいっており、この野馬除土手は、外周の土手にあたる。野馬土手の名前にある「小金原」とは、千葉氏の時代は、この辺の原野をそう呼んでいたことによる。
場所:柏市あかね町。日立柏サッカー場がある公園入口の交差点にある。
参考引用文献:千葉県教育委員会・県内遺跡詳細分布調査報告書「房総の近世牧跡」、柏市・市内遺跡発掘調査報告書
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